検査内容の説明
呼吸器系(肺)検査
胸部X線検査
胸部にある臓器(主に肺・心臓・大動脈など)、つまり呼吸器と循環器に異常がないかを調べる検査です。胸部全体にX線を照射して撮影し、肺に異常な影があるかどうか、また心臓の形などに異常があるかどうかを調べます。
肺は、空気が多いためX線を通しやすく全体的に黒く映ります。この肺の中に白映る影が認められれば、なんらかの異常があると考えられます。また、心臓の形や大きさの異常も写真から推測できます。
検査で異常が疑われた場合には、胸部CT検査、喀痰検査、気管支鏡検査、腫瘍マーカー検査など追加の検査が行われます。
どんな病気がわかるの?
肺結核や肺炎などの炎症、肺癌、肺膿傷、肺気腫などの疾患や、気管支拡張症、心臓拡大など。ただ、検査の際には十分に息を吸って止めた状態で撮影していないと、横隔膜が上がり心臓拡大気味に見えたりすることもあります。
検査の注意点
検査時にはボタンや金属製のものをはずしていただきます。
検査を受けることが出来ない方
人体にはほとんど影響のない程度ですが、微量の放射線を浴びるため、妊娠中または可能性のある人は検査を受けることが出来ません。
胸部CT検査
CT検査とは
コンピュータ断層撮影法(Computed Tomography )の略であり、体の周囲を360度方向から連続的にX線を照射し、身体の断面を撮影する検査です。X線は身体の内部を通過しますが、組織や臓器によって通過しやすさは異なります。CTは通過したX線量の差をデータとして集め、コンピュータ処理することによって身体の内部を画像化します。
肺がん死亡を減少させるためには、CTによる肺がん検診が重要です。2011年に、米国の大規模な臨床研究で、低線量の胸部CT検診の方が、単純X線写真による検診よりも明らかに肺がん死亡率を低下(約 20%)させることが報告されました。
胸部X線(レントゲン)写真では、肺には心臓や肋骨などに重なる部位があるため、肺がんを見つけることが困難な場合があります。
一方、CT検査では肺の断面像を合成できるので、心臓の裏側、肋骨に重なる部位まで死角なく描出され、肺がんをより早期に発見することができます。また転移を起こす前のごく早期の肺がんを見つけ、肺がんで死亡するリスクを減らすことが可能になります。
通常の精密検査のためのCT検査では放射線被曝が比較的多く、検診では低線量で撮影を行います。低線量にすると画像は粗くなる傾向がありますが、最新の装置、画像処理技術を用いることにより、小さな病変や濃度の淡い病変も検出することが可能となりました。
検査をおすすめしたい方
・年齢50歳以上の方
・ヘビースモーカー(*喫煙係数400以上)の方
・受動喫煙(他人が吸ったタバコの煙を吸う)の環境にある方
・がん家系の方
・上記以外でも気になる方
検査を受けることができない方
・妊娠中または妊娠の可能性のある方
・埋め込み型心臓ペースメーカー、埋め込み型除細動装置をご使用の方
喀痰検査
喀痰中の悪性(がん)細胞の有無を検査します。肺がんのスクリーニング検査です。
肺機能検査
肺機能検査とは
息切れ、呼吸困難、痰が出るなど、肺の病気が疑われるときに行う検査です。口で息を吸ったり吐いたりして肺の大きさや息を吐く勢いなどを調べます。肺の病気の診断や重症度、治療効果の判定に用いられます。
検査方法
鼻から空気が漏れないようにクリップでつまみ、マウスピースをくわえて、指示に従って口で息を吸ったり吐いたりします。検査時間は約5分です。
検査から分かること
・空気を肺に取り込む量が少なくなると拘束性の障害(肺が硬くなった状態)が考えられ、肺結核や肺線維症などの疾患が疑われます。
・一気に吐き出す量が少なくなると閉塞性の障害(空気の通り道が狭くなった状態)が考えられ、気管支ぜんそくなどの疾患が疑われます。
・肺に取り込む量も一気に吐き出す量も少ない場合は、混合性の障害が考えられ、肺気腫などが疑われます。
おすすめする方
・喫煙される(されてた)方
・息切れや呼吸困難のある方
・痰が出る方
・胸部レントゲンで肺に異常を認めた場合
注意点
最大まで息を吸い込んだり、強く吐き出したりする必要があり、検査を受ける方の協力が欠かせません。協力が得られないと正しい値が出ないことがあります。